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ママが亡くなってから、初めて味わう気がする家族のだんらん。
兄や八重子さんたちと食べる時とは違って
こちらは本当の家族のだんらん。
ここに弟さんがいないのが寂しいが
いつかは会えるだろうし、
それまでの楽しみができたと考えればいいや。
「今夜は泊まって行ったら?」
すき焼きをつつきながら、お母さんが課長に言うと
「帰るよ。俺、飲んでないもん」
「えぇーーー!つまんなぁい!!」
非情な答えの課長に、
これでもかと膨れっ面を披露するお母さんに
さらなる追い打ちで
「そんな顔をしたってダメだよ。
もともと、まだ美亜を連れて来るつもりはなかったのに
母さんがわがままを言うから連れて来てやったんだから」
「つまんなぁ~い。美亜さんみたいな娘ができて
母さん嬉しいのになぁ~」
未だに頬は膨らみっぱなしで話すお母さんに
「これからは、いつでも遊びに来てくれるさ、
ねえ美亜さん」
お父さんが仲裁に入られたので
「はい。またお邪魔させてください」
笑顔でその言葉を告げると、膨れた頬が元に戻り
「うんもぉ~、美亜ちゃんったら可愛い!!」
ママと同じ世代の女の人に抱き着かれたのっていつ以来だろう。
ママが生きている時が最後かな?
もの凄く、暖かい。
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