パーティーデビュー

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「あ、そうだ。お兄ちゃん、 今夜から急だけど週末まで出張でいないから」 「そうなの?本当に急だね」 「なにかあったら、堀内君を残して行くから 彼女に連絡をしなさい」 「っていう事は、また蕪木さんを連れて行くのね?」 「そう。この間親父の許可をもらった」 金曜日の晩に、仕事が終わった後に実家に来たのは この話をするためだったようだ。 兄は、泊りがけの出張の時は 麻衣香ではなく蕪木さんを連れて行く。 麻衣香が未熟だとか不満だという訳ではなく 秘書とは言え、男と女で泊りの出張は なるべく控えたいらしい。 麻衣香も、あたしと一緒に 何度も兄の家に遊びに行った事があるから 八重子さんとも面識があるし、2人とも仲良しだ。 八重子さんからも、気にしないと言ってるらしいけど 要らない面倒を自ら作りたくないと兄は言う。 そんな時には蕪木さんが適任で 秘書課のトップでもあるし 父の右腕でもあるから、会社の内情にも詳しいし。 その間の父の秘書は 第2秘書を務めるベテラン秘書の上場さんがいる。 「何処に行くの?」 週末までと言う事は、近場ではないだろう。 「ニューヨーク。市場調査も兼ねてるから ちょっと伸びる可能性もあるかもな」 「じゃあその間、八重子さんは一人でお留守番?」 後ろを振り返って、八重子さんに聞くと 「ううん、今日そのまま実家に残ろうと思って。 ひとりでいるのも不安だしね」
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