【3】三浦冴子のプロフィール

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三浦冴子は、慎一郎の恋人だったこともあった。 果たして、あれは恋愛状態だと言えたのだろうか? と慎一郎は今でも思う。 三浦は七十年代後半に青春時代を送った女性らしく、何事にも奔放で、恋多き女だった。 青年期のとば口にさしかかった大学生の頃は、急に成人が近くなり、世間へ出る間口も拡がり、人間関係が爆発的に増える。身体を持て余すことも重なって、その日のノリで異性と一晩過ごすのも珍しくなかった。 中でも、三浦は男の目から見ても恋を楽しんでいた。彼女の周りには男が耐えなかった。三浦はお世辞にもお堅い女性ではなかったが、男なら誰でも良かったわけではない。 彼女には彼女なりのポリシーがあった。自分が好きになれた男とだけ寝た。同時に何人もの恋人と付き合うこともあったが、ボーイフレンドの中でとりわけ本気になった人が出来たら、その他とはきっぱり別れた。 彼女の長所であり短所は、他人の長所を見つけるのが上手いところだ。つまり惚れっぽかった。 あの人は声がいい。 目がステキ。 肩幅の広さが包まれているみたいでたまらないの。 みんな好きなの、選べないわ。 どうして一人だけに縛られなきゃならないわけ。 尾上君、そう思わない? あなたも似たようなものでしょ。 面白い女だと思った。
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