オネダリー6『Re;venge』

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「帰ろう。香子。」 「……………」 「俺たちの部屋に帰ろう?」 思いっきり泣いておさまったら、涙はもう出なかった。 立ち上がったら、川崎が私の服に着いた汚れを払い、水飲み場に行ったと思えば自分のシャツを濡らして戻って、怪我を気遣い優しく私の顔を拭う。 ベタベタがなくなってスッキリ。ニコッと笑って見せたら、また瞳を揺らがせ、優しく抱き締めてくれた。 今度は私も川崎の背中に手を回して応えた。 私のペースに合わせてゆっくり歩く。 繋がれた手は熱く力強い。 「川崎さん。」 「ん。」 「おしゃべりして帰りたい。」 「ん。」 「ここに走ってきたの?」 「ん。」 「何で分かったの?」 「ここ以外思い付かなかった。お前はもう帰る場所は俺のところだけだから。」 「ウエディング写真、とってくれる約束したくせに。」 「…ポンと抜けてた。ゴメン。」 「さっき、昴にヤキモチやいた?」 「妬いてない。」 「嘘だー。」 「…ちょっとだけ妬いた。」 「フフ。」 「…何だよ。」 「ヤキモチとか、嬉しいね。」 「……………」 「あ、照れちゃった?」 「照れてない。」 「嘘だー。」 「ちょっとだけ。な。」 「可愛い川崎さんもいいね。」 「男に向かって可愛いはやめろ。」 「だってヤキモチだもん。」 「…………俺も。」 「え?」 「今朝、お前が嫉妬してたから可愛くて。説明するの忘れて舞い上がってた。」 「…………何それ!」 「……照れてる?」 「照れてないもん!」 「…でも、お前は俺を信じてた。今朝も、居場所を伝えるときも、爆弾のありかを伝えるときも、爆弾を外すときも。 俺が絶対来てくれるって信じてただろ。助けてくれるって思ってただろ。…それがずっと伝わってた。」 「…うん。」 「………嬉しかった。」 「………うん。」 「別れたくない。さっきの取り消し。」 「うん。」 「だから、お前もずっと俺を頼って。」 「………うん。」 一体、どこまで自分を追い詰めてしまったのか。 優柔不断になっても、 怖がりになっても、 嫉妬しても、 泣きそうになっても、 きっとそれは 私だけに見せる無表情川崎の本当の顔
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