オネダリー6『Re;venge』

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「…香子…」 言葉数の少ない川崎は愛情を体現する。 好きと言われたのだってあの日以来だ。 私を愛してくれてると分かるのは、明らかに他と態度が変わるから。 言葉遣いも、声のトーンも、表情だってすべてが変わる。 私に触れるときはとても優しい。 キスするときは極上の甘味。 「…香子…」 「……ン……」 すると、急に川崎のキスが変わる。 少し体勢を私の方へずらし、覆い被さるように。 触れるだけだったキスが、貪るように。 唇を吸われ、侵入してきた川崎が蠢く。 歯列をなぞり、舌を捕らえ、絡ませる。 抱き締める腕は力強く、私を離さない。 「……川崎さ……ン……」 「……ッ!……ゴメン。」 「……え?」 「…寝よう。」 熱いキスを突然やめ、パッと離れて私に背を向けた。 でも、暗闇の中の揺らぎ。 その瞬間を私は見逃さない。 私の頬に貼られた湿布。原因はそれ。 「…川崎さん。」 「…寝よう。」 「背中向けないで。こっち見て?」 「今はダメ。」 「川崎さん?」 「……………」 「………しよ?」 「……………」 「………して?……ダメ?」 「…ダメ。」 「何で?痛くないよ?頬っぺただし。大丈夫だから。」 「…痛そう。だからダメ。」 「…ダイが舐めて治して?」 「……………」 「それもダメ?…ダイ、こっち見て?」 「…もう。何なのお前。」 「全身全霊で誘惑してるの。」 「…色気が足りない。」 「……………」 「………嘘だよ。…誘惑されたい。もっと誘惑して。」 思った通り、私の怪我を気にしてた。 だけど、私は今、川崎が欲しい。 温もりも愛情も、全部欲しい。 素直になって甘えたら、川崎はやっぱり応じてくれて。
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