10.砂糖みたいに甘く

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 それから終わりまで手を繋ぎ 、化け物が出てくる度に手をぎゅっと握り、腕にすがりついた。  「お疲れ様でした」 「……グスッ」  やっと地獄の時間が終わり、シアター内が明るくなる。  そうしてやっと安心できた。  「楽しかったですか?」 「楽しくなんかないっ!  ほんと怖かったんだから!!」 「そうですかねえ。   でも、翠さんがそんなに泣くとは思いませんでした」  そういってタオルを取り出すと俺に手渡す。 「これどうぞ。   顔、洗ってくるでしょ?」 「う、うん」  ありがとう…。  そういうと、玲王くんは優しく微笑んだ。
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