風の強い日の思い出

4/7
前へ
/29ページ
次へ
 今日も授業中、学校の窓から外を眺め、もしかしたら海のひと粒でも落っこちていないかなあと淡い期待を抱いていたのだが、見えるのは緑に囲まれた山々と、かろうじて遠くの方に観覧車が回っているのが見えただけだった。 その観覧車も、海の近くにあるようなカラフルでおしゃれなものとは違って、薄い黄緑にサビが混じった、オンボロのものであった。 唯一、空の青さだけが、遠く離れた海の青さをこちらまで連れてきてくれているようで、その青さにふわふわとしたわた雲の白さが風に飛ばされて散るのを見ているのが楽しかった。 ふと、青空と雲の隙間から、イルカやアシカやペンギンが見え隠れした。 !?
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加