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翌日。
陽も傾き始めた頃に、
私と澪くんは衣笠駅に立っていた。
衣笠駅から久里浜駅へ。
久里浜と言えばペリー。
1853年、ペリー浦賀に来航。
は教科書で有名だが、
最初に来航した場所は久里浜だということは、
横須賀以外ではあまり知られていない事実だ。
久里浜駅からはてくてくと歩き、
京急線久里浜駅へ。そこから南下していく。
京急久里浜駅の次はYRP野比。
私は名前にアルファベットが入っている駅名を
ここ以外に知らない。
Yokosuka Research Park野比。
近未来の匂いがするカッコイイ名前だ。
YRP野比の次は京急長沢、
その次は津久井浜、
三浦海岸、
そして終点三崎口。
三崎口駅では、
ゆるキャラの三浦ツナ之介が居て手を振ってくれた。
世間ではお休みなのに、ご苦労様です。
と思ってしまうのが、大人の悪いところだ。
駅からバスで10分、
徒歩で5分で目的地に到着する。
油壺マリンパークについた時にはもう空は赤く染まっていた。
時刻は18時30分
澪くんチケットを見せてもらうと、
19時開演とある。少し待つようだ。
「澪くんは退屈じゃない？」
そう聞くと、澪くんは首を振った。
それから、持ってきたカバンの中から図鑑を取り出して広げた。
その様子を見ていると、不意に弟の言葉が浮かんだ。
子供の目線で物を見て、話を聞いてやればいい。
うるさいなぁ、と思ったあとに、
ため息をついてから、膝を曲げた。
「なんのお魚見てたの？」
そう聞いてみた。
「タカアシガニ」
澪くんが短く答えた。
「これ？」と写真を指差しながら聞くと
「うん」と頷いて答えてくれた。
普段は「M」字に曲がっている細い足を、
「く」の字にして立ち上がっているカニが写っている。
「へー、足が長いね」
「うん」
そんな会話をしていると、時間になったらしい。
放送で受付の開始が告げられた。
受付でチケットを渡すと、
パンフレットとクイズの書かれた紙を渡された。
すべてのクイズに正解すると、豪華景品がもらえるそうだ。
クイズの紙は澪君に渡す。
「楽しみだね」
そう言いながら、夜の水族館へと入っていった。
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