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2階は1階と同じ様に円形をしていた。
1階ではその全てが巨大な水槽だったが、
2階では壁になっていて、
そこに水槽が埋め込まれていた。
半球状に仕立てられた天井と相まって、
まるでクラゲの傘の中にいるかのように感じた。
体が金色に光るパシフィックシーネットル。
赤い筋が毒々しいアカクラゲ。
大きさが1cmにも満たないヒメアンドンクラゲ。
写真で見るのはまた違った、
生き生きとした姿で泳いでいた。
一口にクラゲと言っても、
それぞれ個性があって、それだけでも十分楽しめた。
外側から中心に向かって目を移す。
中心には水晶でも飾るように、
円筒状の台があって、その上に球形の水槽が乗っていた。
その水晶の中に、ホウセキクラゲはいた。
傘の大きさは5cmくらい。手のひらサイズのクラゲだった。
そして、本物を見て改めて思った。
THEクラゲくんだ。と。
解説のところには、図鑑と同じ言葉が載っていた。
~ホウセキクラゲは年に数回、
鮮やかな色で発光すると言われています。
その仕組みも理由も明らかにはなっていませんが、
その姿は海の神秘そのものです。
もしあなたの目の前でホウセキクラゲが発光し始めたら、
海の宝石を是非ご堪能ください~
目の前のクラゲは、
どう見ても発光しそうには見えない。
そんなものだろう。
宝くじは買わないと当たらない。
でも買ったから当たるというものでもない。
年に数回しか発光しないクラゲが、
たまたま私が水族館を訪れた今日この日に、
発光すると思えるほど私は運が良くない。
がっかりしなかった。十分予想の範囲内だった。
でも、澪くんは水槽の前に行くと、
そこにじっと張り付いて動かなかった。
「澪くん」と声をかけてみたが、動く気配がなかった。
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