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GWの長期休暇。
渋る子供をなんとか連れだして、
横須賀の実家に帰省した。
駅から衣笠駅から20分、
子供の澪くんと一緒に、
えっちらおっちら坂道を登った。
横須賀は坂が多い。
「横須賀では上り坂と下り坂、
どちらが多いでしょう?」
というなぞなぞは一度ならず聞いたことがある定番問題だ。
澪くんは小学5年生だが、
体も小さくあまり活発な子では無かった。
外に出て遊ぶよりは、家の中で遊ぶほうが好きだった。
大人からすれば決してキツイ坂ではないが、
澪くんにはちょっと大変かもしれないと思い、
最初は声をかけながら歩いていた。
澪くんは何も言わず、
黙々と一歩一歩歩いていたので、
途中からは一緒に黙々と登った。
坂を登りきると、街の景色が一望できた。
駅と線路を中心にして、車や人が行き交い、
商店街やファーストフード店、
お弁当屋さんに銀行と、様々なお店が並んでいる。
「ほら、澪くんキレイな景色だよ」
そう言って、子供の澪(レイ)くんを見る。
澪くんはちょっと顔を上げて、左右を見たが、
直ぐに下を向いてしまった。
どうしたのかな?と思う。
「ほら、澪くんの好きな電車が走っているよ」
ちょっと顔を上げて、また下を向いてしまう。
いつもだったら、
好きなものだったら1時間でも2時間でも見ているのに。
今日はちょっと見るだけで、直ぐに下を向いてしまう。
ご機嫌斜めのようだけど、
そうなったきっかけに心当たりもない。
親子といっても、
女の私には、男の子の気持ちは良くわからない。
溜め息をつく。
もやもやした気持ちを外に出す。
それから気分を変えて、澪くんの手を取った。
「じゃ、もうちょっとだから行こう」
そう言って、澪くんの手を引っ張って行く。
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