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私は、澪くんが何を言っているのかわからなかった。
「見に行きたいって?どこに?」
思ったことをそのまま言うと、
澪くんは図鑑の表紙とカバーの間からチケットを出した。
そこには
「油壺マリンパーク・ナイトミュージアム」
と書いてある。
澪くんからチケットを受け取って、よくよく見てみる。
どうやら夕方以降も水族館を開放して、
夜の海を見られるようにしたGW特別イベントらしい。
「これに行きたいと」
澪くんは「うん」と頷いた。
私の心は「んー、NO!」と全力で拒否している。
体を休めに来たのに、
なんでわざわざ外に出なきゃいけないのだろうか。
確かにホウセキクラゲに興味はあるが、
それに時間と体力を使うほど、ではない。
私は絶対に嫌だ。
大人の事情はさておき、
子供も納得する理由は直ぐには浮かばなかった。
どうしようか困っていると、適任が登場する。
「ご飯だってよ」
弟だ。
よし。これで行こう!
後は弟に「YES」と言わせる為に綿密な用意をすれば良い。
「じゃあ、まずはご飯食べようか」
そう言って、返事を保留し、晩御飯に向かった。
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