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「澪くんから聞いたからだよ。全部」 なんで?その疑問を口にしたのは私ではなく弟だった。 「なんでねーちゃんは澪くんの事、何も知らないんだよ」 その言葉に、心が叫びを上げた。 私だって知りたいわよ! でも私の心暗い部分は、その叫びを、言葉にしなかった。 弟はそれを察したのか「悪かった」ときまりの悪そうに言った。 「子供のことを知るのは、難しいことじゃないよ。  一緒にいてやればいい。  子供の目線で物を見て、話を聞いてやればいい。  だからねーちゃんが行ってやんな」 弟はそう言うと、私の手から茶碗をとって洗った。 それを拭いて食器棚に戻す。 「今日の夜は、澪くんはオレが預かるよ。一晩ゆっくりしな」 ありがとう。 ぐちゃぐちゃの気持ちの中でそう思った。 でもそれは、やっぱりぐちゃぐちゃになって 口から出るときには「バカ」になっていた。 それは弟に言ったつもりだった。 でも本当は自分に言ったのかもしれなかった。 よくわからなかった。 お風呂に入って、布団に入って寝た。 ひとりの夜は、寂しくなんて無かった。
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