第1章

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『これより、終点〇〇駅に到着します。忘れ物の無いようご注意ください』 追沢『(……そろそろか。ちょっとしんみりしちゃったけど、結局異世界には行かなかったな)』 追沢『(まあこの不自然な時間にやってきた電車。それだけで僕のインスピレーションが閃くものだ)』 『えー、本日は強風の為電車が少々遅れましたこと、皆様にご迷惑をかけました』 追沢『(ズコー)』 追沢『(ただ強風で電車が遅れただけかよ!僕のインスピレーションを返せ!)』 追沢『(まったく、どんな理由で電車が来たのか考えてたけど、そんなあっさりとした理由だったのか。現実には夢も希望もないな)』 追沢『(まあしかし)』 追沢『(無いものは作る。それが僕たちクリエイターの基本だ)』 追沢『(後日、僕はコンクールに作品を出品した)』 追沢『(タイトルは夢の続き。ファンタスティックなデザインの電車が異彩を放って異世界に向かっている絵だ)』 追沢『(あのとき何のへんてつもない真実に途切れてしまったイメージを、その続きを描こうと思い描いた)』 追沢『(大きな賞は取れなかったが、それでも今は良い)』 追沢『(これから、どんな世界に行っても通用するような絵が描ければ、それでいい)』 おわり
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