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完璧な挨拶、上品な振舞い、話口。
笹沢さんは厳しい父も母も納得させ
隣に居た光を唸らせると
結婚の話を持ち出したのだ。
「いずれは美空さんと結婚をしたいと思っております。
お付き合いをお許し頂けますでしょうか?」
「美空はどうなんだ?」
笹沢さんの言葉に父が口を開き
光が私をじっと見る
「……私は、そうなったらいいなって……」
光の視線にいたたまれなくなって
下を向いた。
「まぁ、それなら反対する理由もないよ、私はね
ただ……」
父は口ごもり、光にチラッと視線を走らせた
「ひー。」
小さいときから、父は光をひー。と呼ぶ。
「はい、おじさん。ナニ?」
「お前はどう思う?」
なぜかそわそわした感じで父が光に話をふった。
すると、光は切れ長の瞳を細めて
妖艶に笑う
「あー。美空が保つなら、いいんじゃない?
何ヵ月も続かないよ。こいつじゃ。
じゃ、オレ部屋帰るわ。おじさん、佐和子さん
またね。笹沢さん、お邪魔しました。」
私の頭をポンポンと叩くと光は家を出ていく
「なっ。」
クスクスと笑う父母に
苦笑いの笹沢さん。
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