近づいてよ

3/3
前へ
/33ページ
次へ
「だから、頑張ってたよ」 光は頭をぽりぽり掻きながら ボソボソと話し出す。 「来年だろ、25歳。金も式の資金やら 家買う頭金も貯めた。 生命保険の受け取り人もお前だよ」 「え……」 「言ったろ?子どもの頃から好きなんだって お前しかいらない。美空しかいらないよ。」 突然すぎてついていけない私に 光は言った。 「ねー、美空。近づいてよ。 俺の一番近くに来てくれよ」 掠れた声に緊張が見える バカみたいに二人の気持ちと行動が 噛み合ってなかったの事に 今さら気づいて ……情けないやら恥ずかしいやら、 嬉しいやら…… もう頭の中はぐちゃぐちゃだった。 (でも……) 私は光の腰に手を回して抱き締め返す。 (シンプルに 気持ちを伝えれば、いいんだよね。きっと ) 「光こそ、近づいてよ。 私の一番近くに来て……家族よりも 傍に来て……」 おわり。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加