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「だから、頑張ってたよ」
光は頭をぽりぽり掻きながら
ボソボソと話し出す。
「来年だろ、25歳。金も式の資金やら
家買う頭金も貯めた。
生命保険の受け取り人もお前だよ」
「え……」
「言ったろ?子どもの頃から好きなんだって
お前しかいらない。美空しかいらないよ。」
突然すぎてついていけない私に
光は言った。
「ねー、美空。近づいてよ。
俺の一番近くに来てくれよ」
掠れた声に緊張が見える
バカみたいに二人の気持ちと行動が
噛み合ってなかったの事に
今さら気づいて
……情けないやら恥ずかしいやら、
嬉しいやら……
もう頭の中はぐちゃぐちゃだった。
(でも……)
私は光の腰に手を回して抱き締め返す。
(シンプルに
気持ちを伝えれば、いいんだよね。きっと )
「光こそ、近づいてよ。
私の一番近くに来て……家族よりも
傍に来て……」
おわり。
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