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私は項垂れた。
「光……」
「ん?」
光が今度は私の肩に両手を置くと
ん?と小首を傾げる。
「……笹沢さんと、もう決めたことなの。」
光の目が開く。
そしてニヤリとちょっと意地悪そうに口の端が引き上がるのを見た。
こんな時でも
悔しいくらいに綺麗な顔立ち。
「へぇ?」
怯まない、怯まない!!
「大体、私だって24歳だもん。」
光は目許をふっと緩ませると
肩から手を離して、後ろを向いた
私はこっそり息を吐く。
「お前、昨日その、笹沢?の隣で
なんか『とろーん』とした潤んだ目しやがってさ。
なに言われてもカクカク頷くだけでさ。
あんなんで務まるのかよ」
「それは……」
(それはホントにいいのかって。悩んだり……でも言えない!)
「それは?」
グンッとこちらを向くと
光が私を壁まで追い詰める。
(だから……心臓に悪いっ。)
「も、うるさい!
とにかくほっといて!!私はするの!
笹沢さんと結婚するの。」
思わず全力で光を押し返して
私は叫ぶ。
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