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お父さんはそもそも、ギャンブルなんてするような人じゃ無かった。
離婚する時に、マジメ過ぎて面白みが無いとお母さんに言われたらしい。
そのショックから、気落ちして抜け殻になっていたお父さんは、友人にボートレースに誘われ…。
以来、ギャンブルの楽しみを覚えてしまった。
あの時のお父さんの落ち込み状態を考えれば、今の方が確実に明るくて良いんだけど…。
正直言えば、借金までしてギャンブルに走らないか心配だ。
そういえば、さっきのぼくとのやりとりで疑問に思う事がある。
お父さんは、旅行の予定が狂うと言った。
つまり、コレからの旅行の予定はあるっぽい。
いったい何をするつもりなんだろ?。
観音崎京急ホテルを予約してる…。
どうしてホテル?。
スマホで検索して見ると立派なホテルだ。
お金は大丈夫何だろうか?。
人生最後にするって言葉も気になる…。
まるで子供の言い訳みたいだけど…。
本気なんだろうか?。
食うに食えん…。
何でこんな事を言い出したんだろ?。
もしかして…。
ぼくの知らない借金があって…。
…一瞬…。
怖い発想がザワザワ浮かび上がる。
不安が背中をムカデのように這い上がってくる。
ゾクッとした不快な何かが、心臓をわし掴む。
考え出してたらキリが無い。
『きっと大丈夫…。』
疑念を抱きながらも、頭を振って考えるのを止め…。
始まったボートレースをぼ~っと眺めていたら…。
隣りでお父さんがハシャぎだした。
「あ…当たった…。
やったばいナツキっ!!。
これで今まで負けた分を、一気に取り返せたっ!!。
それどころかプラスになったばい。
かぁぁ~…。
こんなこつなら、ナツキを信じて3連単一点買いにすれば良かったなぁ~…。
失敗した~~。」
凄い…。
それも何が凄いって、どうやらさっきの色の質問で、レースの予想順位を間接的に聞いていたらしい…。
奇跡ってホントに起きるんだ…。
「やったねお父さんっ!!。
じゃあコレでボートレースは終わりにして…。
次の目的地に行こうよ。」
ぼくがそう笑顔で提案すると…。
お父さんは『ありえな~い』と言ってるような表情で首を横へ振る。
完全な拒否だ。
「ナツキ~。
さっきの話しは負けた時の話しばい。
今日はココで1日過ごさんと…。
明日を楽しか旅行にする為、このプラス分ば、何とか増やさんとならんのばい。」
結構、発想がクズな事を言っている。
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