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でも…。
もしかして、お父さん…。
ぼくらの旅行を快適にする為にボートレースで当てようとしてるの?。
もしかして、あの舞浜にあるランドで遊ぶ為っ?。
そんな発想をしてしまうと…。
どうしてもダメとは言いづらい。
「しょうがないな…。
ただしっ!!。
プラスになった分だけ…。
財布はぼくに預ける事っ!!。
コレが条件。」
「よっしゃっ!!。
スマンなナツキ。
ちなみに次のレースの予想をしてもらえると…。
ありがたいばってん…。」
「知らないよっ…。」
こうして…。
お父さんはプラスになった分だけで、レースを続けた…。
結果は…。
勝ち負けと色々とあったけど…。
結局、最終レース直前には…。
プラス分はほとんどなくなってしまいました。
ぼくはこれまでの光景を見て理解した。
ギャンブルというモノは、勝ち続けても負け続けても自らを制御し、律する事の出来る大人の娯楽だ。
律する事を知らない子供に、絶対させてはいけないし…。
負けてすら律する事の出来ない大人に、させてもいけない…。
ぼくはそんな教訓を、心に刻み込んだ…。
お父さんは最終レースに、プラス分の勝ちを全部賭けるようだ。
とは言っても千円位の賭け金。
買える舟券も限られてくる。
本命からの3連単ボックス買い…。
つまり、1着2着3着になる予想の3艇の、全パターンを買う方法か…。
大穴狙いの3連単ボックスか…。
更に狙って3連単1点集中買い…。
これは当たれば配当金はデカい。
お父さんが選んだのは…。
大穴狙い3連単1点買いでした。
ダメだ…。
どう考えても負ける未来しか予想出来ない…。
「…コレが最終レース。
人生最後の舟券になるかもしれん…。
頼む当たってくれっ…。」
お父さんは、そう呟くと舟券を両の手を合わせた中に挟み…。
目を瞑って祈りだした。
まるで、神様にでもすがるような光景だ。
あれっ…そういえば…!?。
約束はしてないはずなのに、自分から人生最後の舟券とか言い出した…。
やっぱり…もしかして…お父さん。
ぼくの知らない借金があって、自殺するつもりなんじゃ…。
それどころか、ぼくと一緒に心中する為に旅行に誘ったっ!?。
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