第1章

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そう感じとった瞬間。 ぼくの頭から血の気が一気に引いた…。 寒気と怖気が同時に襲いかかり。 今まで立った事の無いような鳥肌が全身に起つ。 夏だというのに全身がガクガクと震えだした。 フと気づいたら、ぼくらの運命のかかったレースは既に終わっていて…。 ぼくには祈るヒマすらなく…。 奇跡は…再び…。 起きなかった…。 お父さんはポツリと囁くように呟いた。 「ワシの人生終わった…。」 家族がめったにしない事をしだしたら、注意した方が良い…。 それは何らかの変調の兆しだ…。 それも大概、悪い方向の…。 お父さんはバス停で、顔を突っ伏したままずっとピクリとも動こうとしない。 何とかぼくが励まさないと…。』 せめて自殺だけでも、思いとどまらせなければ…。 ホントにお父さんの人生が終わりかね無い。 「お父さん大丈夫だよ…。 ぼくもバイトして、家計を助けるから…。 生きてたら、大概どうにかなるって…。 ほら…お金は増えなかっただけで、一応あるんだし…。 ホテルにもう行こうよ。」 ぼくがそう言い終わった時だ。 不意に後ろから声をかけられた。 「ナツキちゃん?。 あなたナツキちゃんね。 とすると、アキヒコさんはそっち?。」 誰?。 ぼくとお父さんの名前を知ってるなんて…。 いったい誰なんだ…?。 借金の取り立て人だろうか?。 それにしても綺麗な女の人だ。 見た目からしたら30代前半かな?。 その声を聞いた途端、お父さんはガバッと顔を上げると、いきなりその人に土下座しだした。 「ハルコさんごめ~~ん!!。 明日のご飯、ラーメンで勘弁してくれっ!!。」 「お金の事は気にしなくと良いってアキヒコさん…。 私ラーメン好きだし。 それより夕飯まだでしょ。 ワリカンで一緒に美味しいモノ食べに行こうよ。」 「ホワッつ…!?えっ?。 お父さん…誰この人?。」 ぼくがあっけに取られていると、お父さんが顔を上げて説明をしだした。 「ナツキ、この人はなぁ。 ハルコさんって言って、女性ボートレーサーをしとる。 そして、今をもってお父さんと正式に付き合う事になった人ばい。」 「へっ!?えっ!?ふへっ?。」 ぼくは驚き過ぎて、開いた口をパクパクするしか出来なくなった。 一段落して二人の話しを整理すると、こういう事らしい。
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