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-出発の朝-
いつもより早く家を出た。
ここからは仕事モード。
普通の女の子の自分は家に置いてきた。
彼女はかなり成績が良い。周りからはエリート扱いすらされている。
だが実際の彼女はいつも恐れていた。
いつも不安で仕方なかった。
この仕事の依頼がくるまでは普通の仕事をしている。
みんなと同じように出勤し、お昼を食べて…
仕事終わりにはご飯いったりする。
…が、裏の顔を持つ彼女には普通の幸せなんて望めなかった。
何度逃げ出してやろうと試みたが無駄。
逃げられない過去がある人間は一生背負わなければいけないのか…
と思い知らされた。
いつもより早起きした朝は、少し気持ちがよい。
気分の問題か。
彼女はタバコに火をつける。
シュボォッ
乾燥した空気では火の付きも良い。
今まで失敗を経験したことない彼女が、人生最大の苦痛を味わうまでのカウントダウンは朝起きたそのときからすでに始まっていた。
そして…
彼女は…
彼に負けた。
その彼女を発見したのが…
隼人たちだった。
-人だ…助けかな…それとも…-
どうすることも出来ない彼女はただなるがままにそのまま隼人たちを見据えている。
彼女は口が動かせない。
そう…
彼女は板橋 美月。
本業:殺し屋
彼女は男に接触し、近くにいた女に装置をつけられていた。
実際一度殴られているがその辺の記憶が曖昧。
美月はなぜかふとそのことを思い出した。
目の前に広がる死体の海を見て。
-アイツか…-
隣にいた古川の手を自然と強く握りしめた。
握られた古川は勘違いして喜んだ。
抱きしめようとした瞬間
「…あんた何しようとしてんだよ…」
冷静に瞬時に戻った美月に言い放たれ、シュンとなってしまった。
古川の恋はなかなか実りそうにない。
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