Dystopia

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確か今日は・・・そうだ、今日は学校の補習だった。 テストで赤点を取った人達が集まる、かったるい学校の恒例行事。どうしてテスト休みの振り替え日にこんな事をしなければいけないのかと、赤点を自ら取っておいて逆恨みもいいところだし、特にする事もなかったが、休みが取り消されてしまった事に腹を立てるのは仕方のない事だ。 しかし、行かなければまた何かとうるさいのはわかっていたし、親に連絡が行くのは勘弁だった。残された選択肢なんて1つしかない。 朝出かける時に母親に「どこに行くの?」と言われたかを思い出して、そう言えば今日は休みなのに制服を着ているのを怪しまれるのが嫌だったから、足音を立てないようにリビングを素通りした事を思い出す。 あの時母親に何かを言っていたら、もしかしたら異常を察知してくれたかもしれない。朝の行動を悔やんだところで赤点を取ったのと同じ位どうしようもない事だが、それでもそう思わずにはいられなかった。 それからいつもの通学路を通り、いつもの交差点を通過したはずだ。 あそこの交差点は交通量が多いからとかそんな理由で、歩行者の横断時間がいつも短い。だれか1回位事故でも起こせば変わるんじゃないかとか不謹慎な事をぼんやり思っていた気がする。 それから・・・。 (それから、どうした?) 学校に着いたのか?それとも着いていないのか?思い返してもはっきりしない。 かばんは学校に置いてあるような状態だし、筆記用具も学校にある。だから今何も持っていないとしても特に不思議な事ではないが、せめて椅子に座ったか、それ以前に校門をくぐったのか位は覚えていてもいいはずなのに、どうしてだか思い出せない。
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