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……君の心臓を救いたい。
私は今でもそう思っているがそれは無理だろう。君の心臓を守りたいし、支えていきたいとも思っているがそれもできない。
あなたをわが子としてだけではなく、一人の人間として認めていきからだ。
時を経て、私にできることはこれしかないという結論に至った。
……君の心臓を整えたい、と。
「行ってきまーす。おにぎりだけ貰うよ」
「早く行きなさい、遅刻するわよ」
悟に早く行けと手を振って威嚇する。
「んじゃ三ヵ月後に楽器、よろしく」
「はいはい、それまでちゃんと続いてたらね」
朝の課外を受ける悟を見送った後、私はもう一人の子供を起こすことにした。彼は普通の出勤時間なので、まだ寝かせておいてもいい。
「あら、もう起きたの?」
「悟の目覚ましで起きたよ」ふてくされたように旦那は頭を掻きながら食卓についた。
「あなたも一緒に起きてランニングでもしたら?体にいいわよ」
「何だよ、俺の腹を眺めても何も出ないぞ」
旦那と一緒に朝食を取りながらテレビを点ける。出会った頃はテレビを点けることを嫌がっていたのに、最近ではこれがなければ会話も始まらない。
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