終わりのない遊戯

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終わりのない遊戯

外はいっそ恨めしい程に晴天で、夏も始まっていないこの時期では外の風も不快ではない。少なくとも少し前まではこの場所から起きて着たくもない制服を着て行きたくもない学校に行くのは億劫以外の何者でもなくて、学生の義務であるとわかっていても恨めしく思っていた。 「……起きるか」 それでも学校をサボってまでしたい事もないし、サボって万が一学校側から親に連絡が行くような事だけは避けたいと思う気持ちは変わらない。もちろん楽しみに変わったという訳でもないが。 今更どんな顔をして父親に遭えばいいのか、それはこれからも変わらないだろう。 でもどこかで自分とそっくりだと思っていた父親が自分と同じ境遇に選ばれる事なく母親と出会い、一時の気の迷いであればなんであれともに歩む時間があった事に関しては、素直によかったと胸を撫でおろす。 誰かを生贄(代わり)にして安穏を得たいと思う気持ちは、ない。 もしかしたら『ここ』では答えがないのがわかっているからこそ、『あそこ』に答えを求めているのかもしれない。 神に求められている、生きている実感を求めるために。 朝からまたどうでもいい事考えたなと思いつつ、充電器に刺してあったスマホをかばんに詰め込み、慣れ親しんだ通学路を歩き出そうとすれば、置いていくなとばかりにするりと足元を撫でる感触がある。
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