神に愛されなかった者達へ

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何もかもがいつもと同じ光景から一部分だけ切り取られているような感じで、だけど何もかもがいつもの光景とは違う。 思わず口から「誰か助けて」と零れるも、心細く震えて空気に溶けていく。 一度零れてしまえば何度も繰り返すしか出来なくなってしまい、狂ったように叫べば、衝撃が体を貫き、そこで頭の中に答えが浮かび上がる。 誰も助けてくれないんだと。 その代わりだと言わんばかりに、触れたブレザーのポケットに入っていたのは、あまり食べないはずの飴玉が3つ。どこかで見た事があるメーカーのものであるのは間違いないが、それをどこかで買った思い出はない。 (何なんだよ) 特別お腹も空いていなかったが、何かをしていないと気がまぎれない気持ちが勝り、無意識に飴玉に手を伸ばす。そのまま口に含んで考え事の続きをしようとしていると、勝手に顎が咀嚼を繰り返し、緊張のせいで薄く感じていたイチゴの味があっという間に口から消えてしまう。 辺りを見回しても何かが変わった様子はない。たださっきまでは気が付かなかったが、どこから人の声が聞こえる。 声はすぐに消えてしまったが、声がした方に進めば自然と扉にぶち当たり、そのまま扉を開く。 「あれ?」 しかし見えたのは、今自分がいた場所と全く同じ構造、配置の教室。 「何だこれ……」 恐る恐る教室に入り、辺りを見回すが、さっきの場所と全く同じだと言ってもおかしくない。しかし、1つだけ違うと言えば、さっき遠くから聞こえていたように聞こえていた何かの稼働音がずっと近くに聞こえる気がする。 (もしかしてこの部屋になんかあるのか……?)
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