第1章

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二人目は野口だった。 「あんな泥棒さっさと警察に突き出せばいいんだよ」 「警察に突き出してもデータは戻ってきませんよ」 「……それは確かにそうだな。なら、あいつの親にでも賠償金を求めるさ。このデータを納品できないと会社の損害は大きいからな」 「明日香さんのご両親?」 「ああ。あいつはいい所のお嬢さんらしいからな。あいつを雇った理由の一つでもあるさ。あいつを雇えばあそこの家に恩を売ることができるからな」 「そんな理由で採用を?」 「何が悪い。生まれた環境も本人の才能の一つだろうが。利用しないほうが頭が悪いんだ。あいつ自身は自分自身の力だけで採用されたおもっているかもしれないがな」 「でも、明日香さんが犯人と決まったわけでもないのに損害賠償なんてできないでしょう?」 「状況的には犯人確定だろうが」 「でも証拠はありませんよ」 「ちっ」 「ありがとうございました。お聞きしたいことは以上です」
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