第1章

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三人目は松田だった。 「無口な方なんですね」 「無駄にしゃべるのが嫌いなだけ」 「明日香さんの採用を推したのはあなただそうですね」 「ああ」 「明日香さんのご両親のバックアップを期待したのですか?」 「野口のバカが何かいったのか?」 「ええ」 「まぁ。それもある。IT系に疎い庶務がほしかったのもある」 「素人なら情報を盗むこともできないと考えてですか?」 「その通りだが。どうやら見込み違いだったらしい」 「あのデータを盗んでお金になると思いますか?」 「難しいだろうな。でもルートを持っていればかなりの金にはなる」 「でも、明日香さんの実家はお金持ちですからお金には困らないと思いますが」 「知らん。実家が金持ちでも本人が金に困っていないとは限らないだろう。親に頼りたくないとか理由はいくらでもある」 「ちなみにその取引先の納期はいつですか?」 「明日だ」 「今データが帰ってくれば問題なく納入できるのですか?」 「……もちろんだ」 「お聞きしたいことは以上です。ありがとうございました」
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