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「何言っているんだお前は!」
叫んだのは松田だった。
「ああ。これは驚きの結果ですね」
まるで棒読みのセリフをわざとらしく四季が言う。
「こんな責任逃れを真に受ける気か!」
荒々しく叫ぶ松田。それに対してひょうひょうとした顔をしている四季。対照的な構図だった。
「そんな叫ぶようなキャラじゃないでしょう松田さん。落ち着いてくださいよ」
「私は落ち着いている。こんなデタラメ誰が信じる」
「そういえば、三人の中で会社の代表をやっているのは石川さんですが、実質リーダーは松田さんなんじゃないですか? 社員の採用の最終決定も松田さんがしているようですし」
「そんなことはない」
「松田さんは知っていて、後ろの二人が知らないことがあるって松田さんは知っていますか?」
松田は答えない。
「たくさんあると言う顔ですね。実際そうなんでしょう。あなた達三人の頭脳労働担当は松田さんのようですし」
「だから何が言いたい」
「明日香さんって。耳が聞こえないわけじゃないんですよ。ただ言葉が話せないだけで」
ペンケースを四季が床に落としたとき、その物音に確かに三人のほかに明日香も含めて全員が注目していたことからも明らかだ。
「そんなわかりきったこと……」
そこまで言って松田の言葉が止まる。青ざめた顔をしている石川と野口の顔を見たからだ。
「あなたは履歴書を見たから知っていたんでしょうけど、そこの二人は筆談をしなければらないと聞いて単純に耳が聞こえないんだろうと思ったんですよ。無理もないと言えば無理もないですけどね」
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