5人が本棚に入れています
本棚に追加
肩まで伸びた白い髪が特徴的な女の子だった。年齢は高校生ぐらいだろうか。その女の子は呆然としている三人と明日香の目の前までやってきて、明日香の隣に座った。
「何かトラブルですよね」
明日香に話しかける。明日香は呆然としながらもなんとか意識を戻してノートの新しいページに書き込む。
『すいません。私は筆談しかできないので』
女の子は、ああと小さく頷いて手話を明日香に見せる。
『手話なら大丈夫ですか?』
『ええ。大丈夫です』
明日香も手話で返した。
「いったい何なんだよお前は!」
野口が女の子に向かって叫ぶ。
「申し遅れました。私は九隅四季と申します。ちょっとした、相談屋というかトラブル解決係といいますか。そんなことをやっています」
「子供が首を突っ込むことじゃねぇんだよ!」
叫ぶ野口を石川が手で制する。
「そうです。部外者が勝手に入ってきていい話ではないんですよ」
四季は鞄から携帯を取り出すとどこかに電話をする。一言二言電話の相手と挨拶らしき会話をすると石川にその携帯を渡す。
「なんですかこれは?」
「ちょっとした根回しです。その電話に出れば私の話を聞く気になりますよ」
怪訝な顔をして電話を受け取る。しばらく話していると不審な顔をしていた石川の表情がみるみる青ざめる。
石川の態度に野口と松田が不審な顔をする。石川が二人にも電話を渡す。二人の態度は石川と全く同じだった。
携帯電話を返す時には三人は驚きの表情で四季を見ていた。
「納得してくれましたか?」
「仕方がない。君の話を聞くしかないようだ」
何が起こっているかわからない明日香は視線で四季に尋ねる。
最初のコメントを投稿しよう!