フィジーから来た犬

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          「フィジーから来た犬」                              雪 玉                序 章  最近、一枚の油絵を描き始めました。油絵なんて生まれて初めてでしたが、2月に亡くなった愛犬のココを、どうしても描いておきたかったんです。ココは、ちょうど10年前に日本にやってきました。亡くなる時はずいぶん痩せていましたが、それでも25kgぐらいありました。今は、小さな骨壷に収められてリビングにいます。 ペットを飼ったことがある方はわかると思いますが、3カ月経った今でも、呼べば庭の裏からでも出てきそうな感じがしてなりません。  私は、このお話を小説にしようと思っているわけではありません。ただ、ココが7,000kmも離れた南の島から日本にやってきて、京浜急行の終点である三崎口の町で生涯を終えるまでのことを、どうしても書き留めておきたかったのです。ですから、ところどころ実名を伏せたりはしていますが、すべて実話です。
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