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田舎の空は、高くて広い。コンビニも無い場所であったが、それなりに暮らしていた。
実徳が俺の横に座ろうとすると、岩が崩れて実徳ごと落ちた。
「痛い……」
「大丈夫か?」
岩は割れたというよりも、そこに置かれただけの状態であった。もしかすると、よく俺が枕にしていた岩かもしれない。
崩れた岩の下に、何か置いてあった。実徳が泥だらけの物を拾い上げる。
「兄さん、ここにもメダルがあるよ」
真空パックにされたメダルであった。俺が手に取り名前を見ると、俺のものであった。
「どうして、ここに?」
俺が、最後にこのメダルを見たのはいつだったのか。綾瀬が持っていると信じ、考えたこともなかった。
綾瀬はこの岩を知らなかったはず。俺は、一人で、ここで寝転んでいた。では、誰がここにメダルを置いたのか。
「まあ、とにかく、こっちの綾瀬のメダルは綾瀬に返すよ」
綾瀬の両親も、このメダルを取った時に、綾瀬がどれだけ喜んだのか覚えているだろう。綾瀬の仏前に置いて欲しい。
「……このメダルを返してくる」
俺も、綾瀬に会いに行く理由を見つけられて、少しほっとしていた。
「俺も行く」
俺は、綾瀬の家に嫌われていた。塩を撒かれる可能性もあり、実徳に見られたくない。
「いや、一人で行くよ」
実徳も、俺の実情を僅かに理解していた。
「兄さん、俺も行きます!」
実徳、頑固な性格に育っていた。
喪服のまま道を歩き、綾瀬の家へと向かってみた。綾瀬の家まで、一KMと少し離れているが、車で行く気分でもなかった。
俺に問題がなければ、綾瀬と俺は幼馴染で親友でいられたのかもしれない。
本当の子供なのか、両親に疑われ、親戚一同の立ち合いのもと検査を行った。実子であったのだが、検査をしたということが、わだかまりを残した。
そんな騒動もあって、近所の人も俺を避けていた。
しかし、相変わらず、畑と山ばかりで、民家が増えた様子もない。多少、変わったといえば、歩道のある道ができた。
山に向かう斜面を登ると、綾瀬の家が見えてきた。この急な斜面に、綾瀬は落ちた。
城の城壁のような石垣はそのままだが、道路淵にあった木々は全て無くなっていた。
立派な門を潜ると、庭に綾瀬の母親がいた。
「あの、遊部です」
覚えているだろうか。
農作業の手を止めて、綾瀬の母親が奥に声を掛けようとした。
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