第1章

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 夕食の後は、風呂に入り、用意されていた部屋に入った。百舌鳥と同室で布団が敷かれていた。ここは、使っていない和室で、俺もあまり入ったことはない。  部屋では、百舌鳥が浴衣で寝転んでいた。百舌鳥は、浴衣の着方が上手であるが、この浴衣はどこにあったのだろうか。俺は、ホテルに泊まるつもりであったので、パジャヤがなく、弟のシャツと短パンを借りていた。 「百舌鳥さん。綾瀬の情報ですが……」 「ああ、結構、目撃が多かったね。概ね、同一でね、全身に枝が刺さり、アソブ?と聞いてくるというのが多いね」  それは、綾瀬の家で得た情報と同じであった。 「やはり、幽霊でしょうか?」 「結論は早いかな。まず、先ほど実徳君と話をしたけど、メダル、交換したものが、ここにあったのだよね?」  それは、もしかしたら綾瀬からのメッセージであるという。  過去は、ほんの少ししか変えられない。誰かが、過去を変えていると、百舌鳥は推測していた。 「遊部君のいた部屋はね、今は車庫に建て替えたそうだよ。その車庫の前で、黒い影を見たと、親御さんは言っていた」  何度も、何度も黒い影を見たのだが、不思議と怖くはなく、綾瀬が遊びに来たとしか考えていなかったらしい。 「変ですね。綾瀬は、その小屋には入った事がないのですよ」  犬小屋に近く、人が住めるような状態ではなかった。自分で建てたのだが、床から地面があちこち見えていた。雨漏りもするので、ブルーシートを掛けていたが、雨や風の音がうるさくて、慣れるまで眠れなかった。  電気だけは、業者がひいてくれたが、あとは自分でなんとかしながら住んでいた。 「入った事がないから、綾瀬君は来るのですよ」  車庫に建て替える際に、業者が被害にあったともいう。車のタイヤが何度もパンクしたり、エンジンが掛からなくなった。他に、唸り声が聞こえたり、泣き声が一日中聞こえていた時もあったらしい。 「よく工事してくれたものですね」  百舌鳥もメモには、様々な現象が書き出されていた。 「他にもね……」  パソコンの画面に、人の映像が映っていた。 「綾瀬君は、隠していた恋人がいたのですよ。彼です」  彼?優しい顔立ちの、どこかで見覚えのある少年が映っていた。 「遊部君に似ているでしょう。後輩らしいですよ」
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