第1章

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 当時の交友関係の資料を見ると、田中家の母親は行方不明になった女子高校生と、仲が良かった。  何となく見えてきた。高校生をナンパした大学生。高校生側、その彼氏と、女子の友人は怒る。彼女達には、可愛いからといい気になっていると、非難が重なる。  そして、彼らが廃墟の肝試しに行くと聞き、脅かしに行った。そこで、予期せぬ事件が起きる。  女子は固まって逃げるだろう。田中家の母親、本当は裏切り者で、彼女達をキャンプ場とは異なる道に導いた。そして、置き去りにした。  廃墟には、窪みがあり、そこに雨水がたまっていた。そこで、大学生二人が溺死していた。慌てて彼らは、その大学生を車の通る道まで運んで、置き去りにした。その理由は、誰かが見つけて助けるだろうだ。  一人が木に登り、周囲を見ていたので、高校生はキャンプ場に帰れない。そこで、又、脅かし、三人目の被害者が出た。  彼女達は見つかっていないが、多分死んでいるのだろう。  そして、犯人達はそのキャンプ場を、確認するために、周期的にキャンプしていた。  この家族は、家族を入れ替え、皆で互いを見張っているのだ。 「行方不明の子供は、通過者かもしれません。通過者というのは、一番近いのは霊能力者です」  戻れなかった異世界の者たちは、自分達の事を知らせようと、本当に小さな異物に記憶を残して渡そうとした。それに触れてしまうと、記録の内容を体験してしまうのが、通過者であった。 「彼女達の記憶を体験し、事件の真相を突き止めたのですね」  それでは、このキャンプ場に行かなくてはいけない。 「さあ、行きましょう!」  百舌鳥が車のキーを持っていた。 「俺が?」 「他にいますか?それに、遊部君は通過者ではありませんが、異世界から回収を託されたので能力があるのですよ」  能力など、無いであろう。俺が、再び掃除をしようとすると、腕を掴まれて連行されてしまった。  車を運転して、キャンプ場に向かうと、百舌鳥は助手席で眠っていた。確かに、到着するまで出来ることはないが、起きていてくれてもいいのではないか。  しかし、赤信号で止まり、百舌鳥の顔を見ると、その疲れた表情に何か聞いてはいけない面を見た。 「給料面とか、質問したかったな……」   俺は、生葬社で働くのだろうか?事務手続きは何もしていなかった。 「生葬社は、所属は公務員だよ。だから、年金や社会保障は大丈夫」
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