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少年は、この白骨死体の経緯を知ってしまったのではないのか。そして、一緒にキャンプに来ていた家族を疑った。
「回収屋は、再生した記録を最新の回収機で回収するのだけど、根こそぎ持ってゆくからね。取られた方は、再生した記憶を失う」
再生した記憶を失うだけならいいが、その不安定な要素を、取られたほうは、幽霊やら異星人のせいだと補ってしまう。
回収屋は、異世界では金属での再生はうまくいかないせいで、生身の体験として記録し直している。記録をやり直した方が、高く引き取ってもらえるらしい。
「少年は、ここにはいない」
簡単に考えれば、行方不明になったのは、キャンプ場ではないのだ。
「まあ、インプラントを回収しましたから。採算は取れましたよ」
再び、車に乗り生葬社に帰ると、三時になっていた。昼飯もまだ食べていない。
生葬社の事務所に入ると、幾人かの女子社員がこちらを見ていた。
「お疲れ様です、百舌鳥店長。インプラント、処理します」
婦人警官のような制服を着ていた。
「白骨死体も処理しておいて」
三人の女性が、賑やかに処理をしていた。しかし、警官の制服に似ている。
「ああ、彼女達は警察から派遣されている」
やはり、ここは公務員であるのか。
「それと、遊部君の席は、ドアを入ってすぐのを使ってね」
空の机が用意されていた。
「少年を探してきます」
「大丈夫、それは、彼女達が保護したよ。脅されて逃げていたみたいだよ。死体が見つかれば、殺人事件だしね。警察の分野だから」
「はい!頑張ります!」
制服が似合っている。制服の胸が、かっこいいのだ。見惚れてしまうと、女性がひそひそとこっちを見ていた。
「……若い男性だから、警戒されているみたいね」
百舌鳥は笑いながら、店長室に戻ってしまった。
第六章 親友
少年の得た記憶によると、彼女たちはその部屋に閉じ込められたらしい。俺が行った時は、扉は開いていたが、元々は、錠で閉まっていた。
その後、警察やら地元の捜索隊が来て、周囲を捜索していたので、犯人は錠を外す事ができなかった。
女子高生二人は雨に濡れたままであったので、高熱を出し、そのまま肺炎になっていた。助けを求めることもなく、そのまま死んでしまった。
「大学生は事故死だろうね。でも、高校生二人は閉じ込めて殺してしまった。田中さんは殺人罪だろうかね、過失致死?かね」
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