ブライダル・ウィング号

3/16
前へ
/18ページ
次へ
「ブライダルトレインっていうのはどう?」 プロポーズから1週間。 式場はどこにしようかと、あれこれネット検索していた私に 彼が唐突に言い出した。 「ブライダルトレイン・・・?」 何それ? 聞いたことない。 「最近はやってるらしいんだ!式場やレストランだけじゃなくて、テーマパークとか映画館とか、2人の思い出の場所で式を挙げるっていうの。」 そう言いながら パソコンにかじりついていた私を押しのけ 勝手にGoogleで検索し出した。 「ふーん…。」 私の彼…今は婚約者、の 水沢 優喜(みなさわ ゆうき)は 1つ年下。 28年生きてきて スレにスレてしまった私とちがって まっすぐで アツくて 何にでも一生懸命な とにかく イイヤツ。 愛想がよくって 人懐っこくて こんなこと言ったら怒られるかもだけど 犬みたいで なんか、かわいかったりもする。 性格がクソガキ過ぎて 時々とんでもなく腹立つこともあるんだけど そこも含めて 一緒にいたいと思える人。 「ホラ、これこれ!」 「世界に1つ♪個性派ウエディング」というタイトルのまとめページでは 結婚式の多様化をうたい、様々なスタイルの結婚式を紹介しているらしかった。 その中の 「ブライダルトレイン」のページをクリックしながら 優喜が続ける。 「オレらが出会ったのも、京急電車だしさ。こういうのも面白いんじゃない?」 「そうだね~。『モーニング・ウィング号』使ってなかったら、出会ってなかったかもしれないもんね。」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加