ブライダル・ウィング号

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「ホラ、見て見て!京急電車でも、こういうのやってるみたいだよ?」 「ブライダル・ウィング号…?」 優喜の開いたページには、電車の外観と、内装のイメージ図がでかでかと載っていた。 「そう!俺らの出会った『モーニング・ウィング号』の姉妹列車なんだって!すげーよくない!?」 「へー…」 「まだ企画が立ち上がったばっかりで、試運転段階だからモニター価格で利用できるらしいよ! これなら、俺らの予算でも足りるんじゃない?」 何のよどみもなく関連ページを次々と開いていく優喜を見て ていうかコレ、今思いついたんじゃなくて 事前にめちゃくちゃ色々調べてきたパターンのやつだ。 というのがよく分かった。 優喜はよく 思いつきで、ココ行きたい、アレやりたい、とか言ったりもするけど 実はすごく頭がいい。 本当に実現したい提案に関しては 会社のプレゼンかってくらい、めちゃくちゃ調べて、準備してくる。 ココまで調べてきてるってことは きっと 本当に乗りたいんだろうな、ブライダルトレイン。 「うん、いいよ。やろっか、その電車の結婚式。」 開かれた画面を たいして見もせずに、私は言った。 「え!いいの!?」 優喜の顔が 「パァァァァ!」ていう表現がピッタリなくらい 一瞬で明るくなった。 「いいよ、おもしろそうじゃん。」 別に鉄ヲタでもないのに そこまで電車にこだわるなんて 正直、意外だったけど。 確かに思い出にはなりそうだし 優喜がココまで我を通そうとするのは珍しい。 きっと、よっぽどやりたいんだろう。
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