第1話 you are (not) trapped

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 死後の世界が一番合っているのかもしれない。だって、私が死んだ後に来たんだから、死後だ。しかし、その割にはビルも木も今先程まで人が居たかの様につかい込まれている感じだ。ビルの壁にはヒビが所々入っており、近くにあるポストには英語で何らかの落書きがスプレーで書かれている。 「東京?いや、大阪かしら・・・?」  少し見渡してみるが、どこにも地名が付いた看板が無い。詳しく見ればあるかもしれないけれど、如何せん腰が痛い為、もう少し壁に寄り掛かって休んでいたい。でも、一つ分かる事がある。  ここは異世界だ。しかも、私の居た世界とは違って人間が居ない。まるで、私の望みを叶える為に用意されたかのような場所なのだ。 「いや・・・まだ分からないか・・・」  そう思いたい自分がいるだけだ。世の中、何が起こるかは分からないと散々あっちの世界で知っているのに何てアホな事を考えているんだ、私は。  走馬灯・・・という現象なのだろうか。しかし、走馬灯というのは確か過去の思い出を思い出す現象だとテレビで見たことがある。となると、これはやっぱり違うのか。とにもかくにも、 「状況を掴まなきゃ・・・か」  私は腰を擦りながら起き上がる。まるで、痛々しい老婆の様だ。今、私の周りに他人が居ないことにありがたみを感じる。やっぱり、他人なんて居ない方が気が楽だなと心の奥底から思った。  私は誰も居ない広々とした・・・ガランとした街中を歩き始める。他人が居ないとこんなにも静かでノスタルジックな気分になれるとは驚きだった。胸が高鳴り、体中から高揚している事を感じる。こんなにもワクワクするのはいつぶりだろうか。まるで、ずっと昔の・・・子供の時に戻ったようだ。  近くにある雑貨店を商店街らしき大通りで見つける。私は無性に気になり、そこに近づいてみる。すると、そこに置いてあったであろう商品が狭い店内の中で無茶苦茶に散乱しているのを発見した。これは一体どういうことなのだろうか・・・。 「・・・すみませーん・・・」  私は店内に人が居ないか呼びかける。しかし、全く反応は無い。 「すみませーんっ!!」  2回目はできる限りの大きい声で呼んでみる。しかし、またも同じように反応が無い。いや、商店街を見たときから変な所は多くあった。お店は閉まっている所もあれば、開いてる所もある。
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