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「承ったこと、しかと理解しました」
「嗚呼、ならばもう行け」
「それでは、また」
そして、2つは境界線上に消えた。これで何千年もすれば、ひとまず何らかの答えを持ってくるだろう。そして、それを足掛かりに吾輩の思考を用いれば、簡単にこの痛みは消える筈だ。
嗚呼、何故こんなことになったのか。およそ理解ができない。何千年も何億年も遥か昔、吾輩と奴は来る日も来る日も死闘を繰り広げた。例え、世界の文明が何度滅ぼうと、無数の星が寿命を迎えようとも、吾輩達は殺し合った。
最期の最後に、吾輩は奴の命を刈り取る事に成功した。奴の源を吾輩の手が奪い取り、この次元の支配者となった。にも関わらず、吾輩は奴の死に際の言葉を聞き、それが楔となって吾輩の魂を傷つけ続けるのだ。これが、当の昔に忘れ去った・・・捨てた筈の忌まわしき感情を溢れさせる。このような事はあってはならぬ。
吾輩の命を吾輩の手で奪おうとするのか、奴は。だとしたら、とんでもない奴だ。どんな武器よりも、吾輩を死に誘い込もうとするモノが何であるかを奴は知っていたのだ。全く持って腹立たしい。
だが、もう終わりだ。吾輩の眷属が必ずこれを食い止めてくれよう。吾輩の魂を喰らおうとする楔を還元するのも時間の問題だ。
そして、吾輩はその痛みから逃れる為に、眠りについた。永い眠りから覚めたとき、吾輩の元に吾輩が願う代物が献上されている事を。
プロローグ 終わり
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