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バタバタバタと衣服が激しく擦れ合ってる音が聞こえる。足元を見てみると、タンスの中に入っていた筈の服が自分の身に纏っている。いや、それよりも重要な事がある。それは足元が足元じゃ無いのではないかという事だ。自然と、湧き上がる恐怖に触発された涙が出てくる。
「ま、・・・まままさかぁ・・・!!!」
私は、おそるおそると変な圧がかかっている頭を動かし、天空であると信じたい景色を見る。すると、そこは勿論天空などではなく、灰色のコンクリートで塗り固められたビル等の建物が雑草のように立ち並んでいた。
「ぅ・・・きゃぁぁぁぅぅぅぁぁああああああああああ!!!!」
私はまるで品の無い奇声を発しながら、頭から真っ逆さまに落下する。私が恐怖で体を揺らしたことにより、変な回転が私の視界をもみくちゃにする。もはや何なんだか分からない。元の世界に帰ってきたのか?それとも、並行世界に来ちゃったのか?いや、そんな事よりも・・・このままだと私はまた死んじゃうじゃないのか!?それは嫌だ・・・・いや、死ねるなら良いんじゃないか!じゃあ、何でこんな状況に陥るのか・・・。訳が分からなかった。
視界がグルングルンと回る中、視界に白い壁が映る。多分、ビルか何かの建物だろう。という事は、私が地面に叩きつけられるのも、ほんの数秒後だろう。私は目を閉じた。特に深い意味は無く、単純に目が空気に晒され続けて痛かったからだ。別に、死ぬ直前にまで余計な痛みを感じる事は無いだろう。
強い風が下から送られてくる事を感じる。痛みは無い。今度は手の感触もある。死ぬごとに身体の機能が増えていくのだろうか。
「うぎっ!!!」
と、思ったら違っていた。腰が痛い。目を開くとビルが立ち並び、道路があり、信号機や電柱も立っていた。どこかの都市なのだろうか。
いや、今はそんなことよりも腰・・・特にお尻が痛い。決して痔とかではない。どうやら急速に減速して落下した様だ。しかし、下はコンクリートで固められている為、叩き付けられれば否応無しに痛い。痛いモノは痛いのだ。まあ、頭から叩き付けられなかっただけありがたかったと思うしか無いだろう。
「ぅぅぅ・・・」
私は声にならないうめき声をあげながらも立ち上がる。そして、ビルを背もたれにして座り込んだ。
「ど、どこなの・・・ここ・・・」
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