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そんな騒がしい朝を迎えている家がもう一件ある。
先程の家の右隣……
「朝ですよ、起きてください」
控えめな声のあとで、フライパンとお玉を鳴らすメジャーな目覚まし音に布団に潜る部屋の主。
「もー少しだけ……」
「だけ待ったら、遅刻です。起きないなら置いていって、これから関わり持たないことにしますけど……どうします?」
口調は丁寧。だけども人に恐怖を与えるのが栗毛に眼鏡の笑顔の少年、裕樹(ゆうき)だ。
そして、その言葉に布団から這い出た金髪の少年が朔良(さくら)である。
「ゆーくんはいつも、脅迫するんだよな…」
「朔良くんが朝早く起きないから悪いんですよ」
むすっとする朔良に対して、裕樹はどこまでも笑顔を絶やさない。
「さ、支度して学校へ行きますよ、二人より遅かったら……さて、どうしましょうか?」
裕樹の不敵な笑みに、朔良は背筋を凍らせた。
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