第1章

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次の日の朝、美加子は妙にすっきりと目が覚めた。 カーテンをあけると、青空がひろがっていた。 いつものように、洗濯をして、掃除をする。 余計なことは考えない。 コーヒーを飲みながらトーストをかじる。 何を着て行こう。美加子は少し考えて、 シンプルなデニムにボーダーのカットソーにした。 今日はシフォンやスカートはやめた。 本来の自分の姿で彼に会おう。 着替えて家を出た。 いつものように、京急線の乗り場へ向かう。 今日は横浜だからいつもと逆だ。 階段をおりて、線路をくぐり、また地上に出る。 ちょうど電車がきたところだった。 美加子はいそいで飛び乗る。 まだ少し早かったが、余計なことを考えたくなかったので早く横浜に着 きたかった。 仲木戸から横浜まではあっという間なのだが美加子には長い時間に思えた。 彼に話を聞きたい。 でも、正直なところ ・・・それよりも早く彼に会いたかった。 ホームが見えてくると美加子は急に緊張してきてしまった。 彼がいた。 電車の窓からでも、彼だとすぐにわかった。 ホームの端のほうに立っている。 電車がゆっくりとホームに停車して、ドアがあく。 美加子は馬鹿みたいに緊張しながら電車を降り、 彼のいるほうへ向かった。 平日の昼間でも横浜駅のような大きな駅だと、人がたくさんいる。
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