第1章

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なんだろう、まさか・・・ 付き合ってほしい。とか。 彼はしばらく沈黙して、深呼吸しているのが電話越しにも聞こえてきた。 「じつは、僕は前に結婚したことがって、子供がいます。バツイチなんだ」 彼は一気に話だした。 別れたのは、2年前だということ。 子供は別れた奥さんが育てているということ。 今でも時々、子供には会っているということ。 美加子はは時々 返事をしながらも、頭の中は真っ白だった。 さっきまでのウキウキした気分はどこか遠くへいってしまったようだった。 「ごめん・・・誘う前に言うのも、変かなと思って言えなかったんだけど・・・。 これを聞いてもまだ次会ってくれる気持ちがあるか、考えてほしいんだ。」 美加子は そんなの気にしない。次も会いたいと言いたかった。 でも、言葉がでてこず、わかりました。と返事をして、おやすみなさいと挨拶をして 電話を切った。 全く予想していなかった。 だってそんなこと一言も・・・・ でも・・・そういえば今日何回かたしかに何か言いたそうにしてたし時々暗い顔をしていた。 なんだろうとは思ったけどまさかこんな事なんて。 電話をとってからどれぐらいの時間が経ったのかわからなかったが、 アイスはすっかり溶けて容器から垂れてしまっていた。 次の日の仕事は何故かものすごく集中できた。 ほとんど眠れなかったせいで頭が逆に興奮してしまったのかもしれない。 平日なので客は少なかったが、ほかの溜まった雑務をこなしているほうが余計な事を考えずにすむ。 あの後彼から連絡はきていない。 次連絡がきたら、 正直何を話していいのかわからない。 過去は変わらないわけだし、それを受け止めるかどうかだけだ。 美加子に考えてというのは、そういうことだ。 ただ、恋愛の経験も豊富なわけではない私に受け止めきれるのか。 考えても答えがでないけど、つい時間ができると考えてしまう。 昨日のデートは完璧だった。次会えるのが本当に楽しみだった。 昨日の電話がくるまでは。 「美加子ちゃん。今日はもうあがっていいよ」 磯辺に声をかけられるまで、そんな遅い時間になっていることに気付いていなかった。
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