第1章

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でも、彼も美加子に気付きこちらを見ている。 2人の足が歩み寄る。 その時だった。 急にホームにいる何人かが騒ぎ出したと思ったら、 いま美加子が乗っていた電車のすぐあとに来た電車をみんな見ている。 美加子が電車がきたほうをみると、そこにいたのは黄色い電車だった。 「乗ったら幸せになれるイエローハッピートレイン」 前に会った男の子が言っていた言葉を思い出した。 一両しか走っていない電車。 その電車は今、ここ横浜駅にいる。 つやつとした見事なまでに黄色い電車。 行先は・・・・特急三崎口。 美加子はすぐ近くで同じようにびっくりして電車を 見ている彼の手を握り 「早く。乗りましょう!これで行けますよ。油壷マリンパーク!」 と言って手を引っ張った。 彼は少し戸惑ったようだったが、すぐにぎゅっと美加子の手を握り返し、 ホームでたくさんの人が写真を撮る中 2人でその黄色い電車に乗り込んだ。
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