第1章

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そう答えると彼は「よかった」と言ってまた笑った。 外はやわらかい夜風が吹いていて、お酒でほてった頬に気持ちよくあたる。 2人で並んで歩きながら背の高い彼を見上げると、こちらを見ていた。 なにやら真剣な顔をしていたので美加子は急に緊張した。 まさか・・・・・キスされるのかな。でもまだそれは早いよな・・・・・ 美加子が1人でドキドキしていると急に、ライトをつけていない自転車が飛び出してきて美加にぶつかりそうになった。 「あぶない!」 とっさに彼が左手で美加子の肩を引き寄せて、自転車から遠ざけてくれた。 自転車が去ったあともしばらく手はそのままで、美加子は肩から頬から全部心臓になったようにドキドキしていたが、 急にパッと手を離されてしまった。 「・・危なかったね。」 彼が小さい声で言った。 「ありがとうございました・・・かばってくれて」 美加子がそういうと、彼はぱっと顔をあげてまたおかしそうに笑いながら言った。 「いや、僕が触りたかっただけだから。ごめんね」 「触りたい・・・って変態みたいじゃないですか」 彼の言い方に美加子もおかしくなって笑った。 美加子はすごく幸せな気持ちで家に着いた。 こんな楽しいデートは何年ぶりだろう。 ウキウキしてつい帰り道にコンビニでハーゲンダッツのバニラを買ってしまった。 お風呂に入ってから食べよう。 美加子は髪を洗いながら、今日のことを思い出していた。 彼の話した言葉、店に迎えにきてくれようとしたこと。 彼の笑顔。そしてあの肩をひきよせてくれた手の感触・・・・。 もしかしたら、これからはこんな風に二人で過ごせるのかもしれない。そしてもっと彼の事を知って、私のことも知ってもらって。 いい気分で着替えて冷凍庫からアイスを出し、蓋をあけたところで携帯が鳴った。 きっと彼からだ。美加子はドキドキしながら電話にでる。 「あ、もしもし。もう、家ついた?」 初めて電話の声を聞いて、また胸が高鳴るのを感じた。 「はい。もうお風呂も入っちゃいましたよ」 「ははっ 早いね。・・・美加子ちゃん、今日は本当にありがとう。すごく楽しかったです。」 「わ、私も・・・。誘ってくれて、嬉しかったです」 「あの…今度、会うまえにちゃんと話しとかなきゃいけないと思って。 直接言いたかったんだけど、言えなくて」
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