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「なんなんですか。腹いせに傷つけに来たんですか。もう帰ってくれますか。弁当箱はあとで回収して放課後持っていきますから」
「実はまだ、受け取ってほしいものがあんのさ」
そう言うとまたなにか取り出した。
今度はデザートかと思えば液体の入りの小瓶・小さな植物の束・使い込まれた手帳。
「イライラしてしょうがないんでしょ? そこでおねーさんが癒しグッズを提供してあげようと思ってさ」
「へえ、それはマジメにありがたい。......もらっていいんですか?」
「部活で作ったやつだから、遠慮しなくていいのよ。表現課に頼まれて手伝ったんだけど、つい夢中になっちゃって作りすぎたからたくさんあんの」
「はあ、そうでしょうね......」
快楽部における”課長”とは課をまとめ上げる立場ではなく症状が重い人物をそう呼んでいるのではないだろうか。
「そういうわけだからありがたく貰ってよ。アロマオイルと、ポプリのリースと、表現課長秘密のポエム帳」
「ありがたくないのが混じってる」
「ちょっとしか読んでないけど、痛々しくて笑えるわよ」
「容赦ないな。本人に無断で持ってきたんだろ」
「”表現”課なら、作品は発表しないとね? 」
邪気なく笑う顔を見て、不覚にもドキっとした。
ポプリの香りが鼻に触って、「コイツやっぱり良いやつかも」と血迷ったことを考えてしまう。
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