染める夕陽

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 そんな感慨に浸っている間にもバスは三崎港のバス停を後にして橋に向かて坂を登っていき、上がっていく様子を窓から眺めているうちに、バスは橋の手前の『城ヶ島大橋』バス停に到着し、少しの乗降の後に発車する。バスの中はまだ少し混んでいるものの、この最後列からでも前に伸びる橋はよく見える。  「いよいよ城ヶ島に入るね」  俺と同じく視線を前に向けている陽瀬が声をかけた。  「そうだな」  そしてバスは橋手前の料金所を通過、橋に掛かる。  「すご~い!きれいだね~!」  「いい感じに陽も出てるし、これは絶景だな」  橋の両側の海、そして右手に出ている夕陽とオレンジ色に染まりつつある大空。そしてその夕陽から降り注ぐ日差しを浴びてキラキラと反射する水面。  その絶景に、上手く言葉も作れずありきたりな言葉しかだせない。しかし、この景色を見られただけでここに来て良かった。そんな思いも浮かんでくる。  しかし橋は無限に続くわけでもなく、橋を降りるとバス停を2つ過ぎ、終点の『城ヶ島』バス停にたどり着いた。  終点に着いたということで、バスから降りこの城ヶ島の土地に足を下ろす。    「着いた~」  一足先に降りた陽瀬が「う~ん」と伸びをしながら、そう声を上げている。また海に近いからか風も吹いているようで、陽瀬の肩まで伸びている髪が揺らめいている。  「さてさて、和也くん。ここまで来たからには一緒にこの先まで行ってみようじゃないか」  「何だよ、急にどうした」  凛とした顔つきでよく分からないキャラになった陽瀬だが、すぐに表情を崩す。  「何でもないよ~、でも行ってみよっ?」  「まぁ俺だってとんぼ返りするためにここまで来たわけじゃないからな、行くつもりだったさ」  陽瀬は俺の言葉にニコッと笑い、  「じゃあ行こっか」  バス停の先に続く緩やかな坂道へと足を進め、俺はその後に続く。  何となく両脇に続く店を眺めながら歩いていると、視界の右前方に白く染められた灯台が姿を現した。  「ねぇ、灯台のとこまで登ろう?」  俺と同じタイミングで灯台の存在に気がついたのか、前を歩く陽瀬が振り返って声をかける。  「城ヶ島灯台だな。この前テレビでちょっと見たけど、こんなすぐに来るとは思いもしなかったな」  「え~、和也知ってたんだ~。じゃあもしかして、城ヶ島のこと知り尽くしちゃってる感じ?」
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