第1章

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やっぱりいまいち理解できず、半信半疑な気持ちで「はい」と返事をした。 「おーい!お前こんなとこにいたのか!そろそろ太鼓でるぞ!」走りながら神社に入ってきた男は、おっさんに声をかけた。 「おお!わりいわりい!行くかあ!」 「よっこらせ」おっさんはわざとらしく声をだし立ち上がった。「ここはいい町だ。優しい町だぜ。いつでも来いよな」 もう見慣れた、にっという笑顔を俺に向け、おっさんは神社から出て行ってしまった。  近くから太鼓と笛の音が新しく聞こえ始めた。  ずっと持っていた携帯の画面が光った。新しいメッセージを一件受信していた。開けばそれは例の上司からだった。 ーー電話出ろよ。明日の朝俺も手伝ってやるから遅れんなよ。  膝に手を当て、よっこらせと心の中で呟きながら立ち上がる。  お祭りの空気を胸いっぱいに吸った。携帯の画面の上で指を数回滑らせてた。「ありがとうございます」  胸に落ちる太鼓の音と酔っぱらった笛の音を耳に、俺は歩き出した。
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