タイムリープ

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あ。「キタ」… 最近は その感覚がだいぶ分かるようになってきた。 「それ」は2、3カ月に1回。 多い時は、月1のペースで 起こる。 場所はいつも 横浜駅の手前くらい。 今日もそう。 ほら―――。 電車の窓から見える 流れる景色が 前方の方から違和感のあるものに変わっていく。 一軒家はほとんどなくなり 高層マンションが立ち並ぶ。 道路を走りきらなくなった車は 空中の仮想道路の上を規則正しく走っている。 車の中にハンドルはなく 全てが自動操縦で動いている。 オゾン層の破壊が深刻化しているのか どのマンションも 屋上に緑の生い茂った森林浴場を作ることが義務付けらているらしい。 今から 10年後? 20年後? 100年後? おそらく 未来の姿であることに 間違いはない。 電車内の人たちは 「これ」が起こったことに対して 何の反応もしない。 風景が切り替わった瞬間から 普通に 「空飛ぶ車」の話や 「空中遊園地」なんかの話を 楽しそうにしている。 「それ」に疑問を抱いているのは どうやら私だけらしかった。 「それ」は 横浜駅を過ぎて神奈川駅に着く頃までには いつもおさまっている。 元の風景に 戻っているのだ。 いつもは仕事に向かっているところなため 途中下車したことはない。 今日は、仕事は休み。 特に予定もない。 何となく、都内にでてみようかと 電車に乗っただけ。 降りて みようかな…?
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