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ずっと
気にはなってはいた。
この未来の風景は
電車から見た風景だからなのか?
電車を降りても
そこは未来の世界なのか?
もうこんなチャンスは
ないかもしれない。
「横浜駅で降りよう」
私は覚悟を決めた。
横浜駅は
正直、苦手だ。
人ごみが苦手だから、とかいう理由じゃない。
もっと個人的な
もっとくだらない理由。
ちょうど1年前。
私は
同棲していた彼に
フラれた。
横浜で同棲を始めて
2年ほどがたっていた。
そろそろ結婚かな?
なんて思っていた矢先に
別れを告げられた。
同じ職場の女の子に
心惹かれてしまったらしい。
2年も一緒に
彼と過ごした街。
そこは思い出が
多すぎた。
横浜駅を
電車で通過するだけでも
彼と行った中華街
彼と手をつないだ公園
彼とキスした映画館
あらゆる思い出がフラッシュバックして
泣き崩れることもあった。
この妙な現象が
初めて起こったのは
彼にフラれて一週間ほどが経った日だった。
私は毎日
泣いていた。
その日も横浜駅が近づくにつれ
ゆるまっていく涙腺を
止めることができずに
泣―――
こうとしたら
窓から見る風景が
いつものものではないことに気づいた。
「え…?」
驚いて
涙も止まっていた。
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