ループ

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何故、こんな事になっているのか分からない。 私は、今の状況を把握出来ないでいた。 仲間と集まって、騒いでいたのは覚えている。でも酒は入っていない。そういう集まりではなかった。 煙草は吸っていた。皆、ヘビースモーカーで、部屋中が白く煙っていたのを覚えている。そんな中でトランプをしたり、政治の話をしたり。 革命を起こそうとか、そんな大それた話ではなく、ただ、今の政治の在り方の不満や不平を話していただけだ。 眠った記憶はない。 しかし、記憶は途切れ、気付けば私達が居た筈の、仲間の一人の部屋ではなく、見覚えのない場所で、椅子に座っていた。一緒にいた仲間も、同じ場所で顔を揃えて、恐らく私と同じ表情で周囲を見回している。 薄暗いが、まるで見えない訳ではない。仲間の表情くらいは、ある程度把握出来る程の暗さ。だが部屋の四隅は黒く、闇が蜘蛛のように巣食っている。 窓は無い。扉は一ヶ所。灰色の壁と同じ色で、ただ四角く描かれたような枠が、そこが扉だという事を、私達に知らせているに過ぎない。 目の前には、これも壁と同じ、灰色の机。事務所に置いてあるような机で、それを二脚繋げて、私達がその周囲に座っている形だ。 しかし仲間の一人が、騒ぐ事もなく、最後に記憶にある話題を再開した。 他の面々も、まるで何も無かったかのように、その話題に乗じ始める。
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