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気づくと、あの事件から、2年の月日が流れていた。
あれから、瑞貴や瑞穂ちゃんのことを想うと、悲しみに気持ちが沈み、また思いもよらず暴き出された、忘れてしまいたい私自身の過去の呪縛に苛まれ、私は、幾度となく心が不安定に揺れた。
でも、そんな時、いつでも陸斗が隣で支えてくれたから、現在がある。
先週、久しぶりに、陸斗から『遊びに行かないか?』とラインで誘われた。それで、お互い大学の講義のない土曜に会うことになった。
待ち合わせの駅に行くと、陸斗はすでに待っていた。
「陸斗、待った?」
「いや、今来たとこ。電車もうすぐ来るぞ」
「うん」
私達はホームへ続く階段を降りていく。
電車で私達が向かったのは、緑が溢れる大きな公園。暑さの増していく時期だけど、公園の中央にある池と、鮮やかな木々の緑が、涼やかな空気で包んでくれる。
「こういう所来るの久しぶりだな」
「そうだね」
都心の大学に進むのに合わせて、私達はそれぞれ1Rのマンションを借りて住んでいる。
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